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広島高等裁判所 昭和42年(う)255号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判決理由】職権によつて調査するに、原判決は、検察官の「被告人は、……昭和四一年一一月二五日午後八時二五分ごろ普通乗用自動車を運転し時速六五粁位にて呉市警固屋通九丁目一番地々先の見透し不十分な曲り角に、……差しかかつた際不注意にもその相当手前から前方を十分注意して警音器を鳴らし道路の左側によつて減速徐行し危害を未然に防止すべき業務上の注意義務を怠り時速約六五粁位のままで進行した過失により……。」との公訴事実と、原審第二回公判において、検察官が罪名及び罰条として、道路交通法、同法第四二条、第一一九条第一項第二号、を追加したことに対し、罪となるべき事実として、「被告人は、……昭和四一年一一月二五日午後八時二五分ごろ、普通乗用自動車……を運転して、呉市警固屋通九丁目一附近の県道上を毎時六〇キロメートル以上の高速で北進中、同所警固屋ドック東方の左カーブにさしかかつた際、1、同所はカーブ内側にブロック塀があつて見とおしがきかず、もとより交通整理も行なわれていないのであるから、2、当然徐行すべき業務上の注意があつたのにかかわらず3、……前記義務を怠り、……前記高速で突進した過失により4、……」と判示し、法令の適用において、右事実を徐行義務違反罪に問擬し、道路交通法第四二条、第一一九条第一項第二号(懲役刑選択)を適用し、右罪は本件各業務上過失傷害の罪と一所為数罪の関係にあるものとして、刑法第五四条第一項前段、第一〇条により、結局原判示中野に対する業務上過失傷害罪の刑により処断しているが、原判決が証拠として掲げている司法警察員作成の実況見分調書(図面及び写真を含む)によれば、本件事故発生直前被告人運転の自動車が進行した道路は、約一六〇度に湾曲したゆるやかな一本道のカーブであり、カーブ内側沿いにはブロック塀があるため前方の見通しが十分でないことは認められるが、同所が道路交通法第四二条に規定された交差点でもなく、そして、同条所定のまがりかどにも該当しないこと一見明白であるし、また、記録を精査しても同所が同条にいう上り坂頂上附近、勾配の急な下り坂又は公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めて指定した徐行場所であることを認め得る証拠も存しないので、結局本件公訴事実中徐行違反の点については犯罪の証明がないものというべく、この点を有罪と認定し、同法第四二条、第一一九条第一項第二号を適用した原判決には、事実を誤認しひいては法令の適用を誤つた違法があり、右誤認は判決に影響を及ぼすこと明らかであるから、この点においても原判決は破棄を免れない。(幸田輝治 高橋文恵 植杉豊)

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